昭和・平成のミステリの技法をフル装備し、
乱歩デビュー前の大正時代半ばに転生して本格探偵小説を書いたら……。
そんな夢想が現実のものになったかのような極上の逸品。
この作者は、令和のミステリを支える
太い柱の一つになるだろう。
有栖川有栖
分厚い世界に緻密なロジック、第60回メフィスト賞受賞作
☆☆☆
謎が謎を呼ぶ怪死事件。元泥棒が導く真相に瞠目せよ。
和洋入り交じる大正の東京。
秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる
血液学研究の大家・村上博士が刺殺された。
不可解な点は3つ。遺体が移動させられていたこと、
鞄の内側がべっとり血に濡れていたこと、そして、
遺族が解決を依頼したのが以前村上邸に盗みに入った元泥棒だったこと――。
頭脳明晰にして見目麗しく、厭世家の元泥棒・蓮野が見つけた
四人の容疑者の共通点は、“事件解決に熱心過ぎる”ことだった――。