なぜ、「質問をすること」が大切なのでしょうか。この問いに対して、義務教育、大学、ビジネス界で大きな影響力をもった三人の著名人が答えています。
「私たちがもっている知識は質問の結果です。実際、質問をすることは人間がもっている最も重要な知的ツールです。〔中略〕このような大切な知的ツールを、学校では教わらないのです」(ニール・ポストマン、元ニューヨーク大学教授)
「人間の基本的なスキルは、解釈と探究に必要な、ものごとを分析する力です。言い換えると、どのように質問したらいいかを知っていることです」(レオン・ボットスタイン、元バード・カレッジ学長)
「最も頻繁に起こるマネジメントの問題は、正しい答えを見つけることができないということではなく、よい質問が浮かばないことです」(ピーター・ドラッカー)
本書では、このように大切な質問づくりのスキルが容易に身につけられる方法をていねいに紹介しています(その中には、学校や大学教育や社会や日常生活で軽視されている優先順位をつけるスキルも含まれています)。このスキルの習得は、これまで生徒たちに自分で考えさせようと「発問づくり」に時間とエネルギーを割いてきた教師が、生徒たちのサポート役になることで可能となります。その結果、教師に依存していた生徒たちの学びは、主体的かつ自立的な学びに転換します。
最近、頻繁に見かける教育用語を使えば、これこそ「究極のアクティブ・ラーニング」と言えます。「質問づくり」を習得することで、「二一世紀スキル」「イノベーターに求められるスキル」「社会人基礎力」「EQやライフスキル」「民主主義を実践するためのスキル」といった現代人に最も求められている力も身につきます。ぜひ試してみてください。(よしだ・しんいちろう)