三国支配を実現し、安定した栄華を誇る今川家に生まれた氏真は、武芸や和歌に長け、知的で無益な争いごとの嫌いな少年だった。“海道一の弓取り”と呼ばれる父・義元を桶狭間の戦いで失い、惣領として否応なく戦う道に飛び込んでいく。乱世にあって、男として人間として惣領としてどう生きるか。悩み苦しみながらも己を貫いて生きた人間氏真の姿を描く。