俺はトガシ。生まれつき足が速かった。だから、100m走は全国1位だった。「友達」も「居場所」も、“それ”で手に入れた。しかし小6の秋、初めて敗北の恐怖を知った。そして同時に味わった。本気の高揚と昂奮を──。100mの全力疾走。時間にすれば十数秒。だがそこには、人生全てを懸けるだけの“熱”があった。
高校から10年。元天才は、“走る意味”を探していた。 インターハイの舞台で、小宮との再会を果たしたトガシは、変わり果ててしまった小宮に、人生で初めて“敗北”する。──それから10年、“走る意味”を失い、並の選手になってしまったトガシは、再起を懸け、“日本陸上”を目指すのだが……? たった100mに人生を懸けた男の物語、完結!!