ミシェル・フーコー(一九二六―八四)は顔を持たない哲学者だ.今の自分にとって「正しい」とされることを徹底的に疑いぬき,自己を縛り付けようとする言説に抗い,危険を冒してでも常に変化を遂げようとした.だからこそ彼の著作は,一冊ごとに読者を新たな見知らぬ世界へと導いていく.その絶えざる変貌をたどる.