祇園のお茶屋「竹乃家」は開店から30年を迎えようとしていた。女将・芙佐には3人の娘がいたが、長女の明子は上京して医者になり、次女の華枝も結婚して家を出ていた。大学生の三女・稚子に芙佐は後を託すつもりだった。/出版社社長・敏子は揺れ動く心を静められずにいた。ずっと年下の編集長への想いが強まるばかりだったのだ。だが、姪の律子の存在が運命を変える。/恭子はつらい思い出を乗り越え、南禅寺での大学生との出会いをきっかけに、新たな生き甲斐を見出そうとしていた。/そしてなおみは、京都へ嫁にいくことに。──さらには、野球選手と結ばれようとする仲居の話や、作家に口説かれる芸妓の顛末など、京都に生きる女性たちの色恋がストーリーに彩を添える。都をどり、葵祭、祇園会、大文字と、季節は春から秋へ……。