「治療者は病気の専門家ではあるが、人間の専門家ではない」。治療者が立ち入れるのは、病気に関する部分だけである。その点を忘れてしまい、人間としての相手に評価を下してしまうところにさまざまな問題が起こってくる。支配関係が生まれたり、新たなトラウマが発生したり、治療への絶望感が起こったり、治療者の燃え尽きが生じたりする。本書ではこの点を掘り下げながら、トラマウに向き合う治療姿勢について考えていく。