その格調高い演説で国の内外に感銘を与えたヴァイツゼッカー元ドイツ大統領。在任中、敗戦四十年を機に連邦議会でおこなった名高い「荒れ野の四十年」から、退任後、日独の戦後を比較した「水に流してはならない」まで、珠玉の十一篇を集成した。酷しい体験と深い思索に支えられた演説は、言葉がもつ力強さを伝える。政治家の言葉が軽くなっている今の日本で味読されるべきであろう。