19世紀末から20世紀の戦争の時代にあって、個々人の「個性」を置きかえ不可能な差異として認め、「自己本位」の孤独な闘いに生きた漱石。漱石とは誰かという問いに対する固定した答えを裏切りつづける、永遠の差異化運動=「漱石」。このミステリアスな作家の生涯と文学を新たにたどりなおし、その魅力を鮮やかにくみあげたフレッシュな再入門書。また漱石が面白くなる。