本書は五年前に亡くなった高倉健が〝最後に愛した女性〟小田貴月さんによる初の手記です。
海外のホテルを紹介するフリーライターだった貴月さんは、
香港で偶然、健さんと出逢います。1996年のことです。
1年ほど文通が続いた後、貴月さんが仕事でイランへ出発する日の朝、二人は〝急接近〟します。
成田行きのリムジンバスに乗ると、健さんから携帯電話に連絡が入りました。
「後ろを見て!」。振り向くと、敬礼のポーズをとる高倉健の姿があったのでした……。
そしてイランのホテルには、健さんから毎晩のように国際電話が入りました。
貴月さんは帰国後、健さんの〝伴奏者〟としての道を選び、それは健さんを看取るまで続きました。
〝孤高の映画俳優〟というイメージを崩さないため、外で会うことは一度もなし。
彼女は健さんのために家で毎日食事をつくり、ロケの支度をするなど身の回りの世話を焼き、
そしてたくさんの会話を重ねたのでした。
本書では、貴月さんに直接語った〝言葉〟により、健さんの真の姿を浮き彫りにします。