戦争が時代を裂き、思想も倫理も根底的に揺いだ20世紀前半、ケインズとハイエクは自由(主義)意識を共有したのではないだろうか。しかし、彼らの知性を育んだミリューが全く異なるように、彼らの打ち立てようとした新自由主義は、拠るべき地盤も目指すべき世界もその性格は対照的であった。にもかかわらず、一方を肯んじ他方を退けることはできないのではないか-。科学と倫理の根本的課題に肉薄する。