「すぐにお返事をください。あなたからの手紙が来ないと、私はこの課題でいい成績がとれません。」
ただ落第しないためにだけ、学校の課題でアフガニスタンの少女アミーラと文通をはじめたイリノイ州の小学生アビー。間もなく届いた返事は完璧な英語で書かれており、カメラがないからと家族の顔や暮らしぶりがわかる精巧な絵まで同封されていて、それは素晴らしいものだった。ほんの10分で手紙を書いてしまったことが恥ずかしくなったアビーは、次はもっと素敵な手紙を書こうと決心し、丁寧に長い返事を書く。
だが、実は手紙をくれていたのは、アミーラではなく、アミーラの兄サディードだった。アフガニスタンではたとえ子どもでも男女が手紙のやりとりをするのは適切ではないため、学校の先生の判断で、英語が得意で優秀なサディードが妹の手紙を助ける形をとることになっていたのだった。
サディードからの2回目の手紙で秘密を打ち明けられ、ますます文通が楽しくなったアビーだったが……。(米クリストファー賞受賞)