• 著者判例タイムズ社

判例タイムズ NO.1258 2008.3.1

■研究会「事実認定と立証活動」10 契約類型に即応した事実認定 消費貸借契約・請負契約・代理権授与/瀧澤 泉(ゲスト)・馬橋隆紀・須藤典明・村田 渉・加藤新太郎(司会) ■さいたま民事実務研究 陳述書の活用について/近藤壽邦・岩坪朗彦 ■続・元裁判官の書斎(1) エンサイクロペディストとしての久米邦武/倉田卓次 ■独占禁止法審判決研究6・完 最近の不公正な取引方法事件排除措置命令の検討 不公正な取引方法規制の擁護/平林英勝 ■会社判例プラザ36——服部榮三〔東北大学名誉教授〕監修 議決権代理行使の勧誘に際して,必要事項を記載した参考書類が交付されず,また,委任状用紙に議案ごとの賛否欄が設けられていない,いわゆる勧誘規則違反の場合に株主総会決議の方法に法令定款違反または著しい不公正があるといえるか 東京地裁平成17年7月7日判決,判時1915号150頁/新山雄三 ■ブック・レビュー 大阪地裁民事交通訴訟研究会編著 『大阪地裁における交通損害賠償の算定基準』/窪田充見 判例紹介(全18件) ◆特 報 [知的財産] 1(最高裁第一小法廷平19.11.8判決) 1 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において特許製品を譲渡した場合に,特許権者が当該特許製品につき特許権を行使することの可否 2 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に,特許権者が当該加工等がされた製品につき特許権を行使することの可否 3 特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に,当該加工等が特許製品の新たな製造に当たるとしてその特許製品につき特許権の行使が許されるといえるかどうかの判断基準 4 我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に,特許権者が当該加工等がされた製品につき我が国において特許権を行使することの可否 5 我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合に,当該加工等が特許製品の新たな製造に当たるとしてその特許製品につき我が国において特許権の行使が許されるといえるかどうかの判断基準 6 インクジェットプリンタ用インクタンクに関する特許の特許権者により我が国及び国外で譲渡された特許製品の使用済みインクタンク本体を,第三者が利用しこれに加工するなどして製品化したインクタンクについて,特許権者による権利行使が認められた事例 ◆速 報 [商 法] 1モリテックス株主総会決議取消請求訴訟(東京地裁平19.12.6判決) 1 役員選任議案の決議要件たる「出席議決権数の過半数」を算出するに際し,株主提出の委任状に係る議決権数を会社提案の「出席議決権数」に含めない方法により行われた決議について,決議方法の法令違反があるとして決議が取り消された事例 2 会社が議決権行使を条件として株主1名につきQuoカード1枚(500円分)の提供をしたことが会社法120条1項の禁止する利益供与に該当し,かかる利益供与を受けてされた決議について,決議方法の法令違反があるとして決議が取り消された事例 [特別刑法] 2(東京高裁平19.12.10判決) 1 世田谷区清掃・リサイクル条例31条の2,79条1号の規定は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条1項ただし書に違反しない 2 世田谷区清掃・リサイクル条例31条の2,79条1号の規定に,犯罪構成要件としてあいまい・不明確な点はない ◆最高裁判例 [個別的労働関係] 1(最高裁第二小法廷平19.11.16判決) 会社の執行役員を退任した者が会社に対し退職慰労金の支払を請求することができないとされた事例 [民事訴訟法] 2(最高裁第二小法廷平19.11.30決定) 銀行が法令により義務付けられた資産査定の前提として債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるか ◆憲法裁判例 [憲 法] 1(東京地裁平18.7.26判決) 住民基本台帳ネットワークシステムにより,プライバシー権等が侵害されたとして原告らが求めた住基ネットの運用の差止め及び国家賠償請求等が棄却された事例 ◆行政裁判例 [国家補償法] 1(横浜地裁平18.4.25判決) 1 県警察官の救護義務違反によって,被害者の延命可能性が侵害されたとして,県に対する損害賠償請求が一部認容された事例 2 上記被害者の解剖を担当した監察医が解剖を行わずに虚偽の死体検案書を作成したとは認められないとして,監察医らに対する損害賠償請求が棄却された事例 [情報公開] 2(大阪地裁平19.6.29判決) 建築基準法77条の31第1項の規定に基づく国土交通大臣の指定確認検査機関に対する立入検査に関して作成された立入検査報告書に記録された情報のうち確認検査員の資格を有しない補助員により建築基準法違反の検査が行われた物件の名称,担当した補助員の氏名,検査の日付に関する情報が行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前のもの)5条6号イ,同号柱書にいう不開示情報に該当しないとされた事例 ◆労働裁判例 [個別的労働関係] 1(福岡高裁平19.5.7判決) 出向社員の自殺が業務に起因するものと認められた事例 ◆民・商事裁判例 [民 法] 1(東京高裁平19.9.13判決) 自動車通行を前提とする囲繞地通行権が認められた事例 2(福岡高裁平19.9.27判決) 3回にわたり締結された手形貸付取引約定に基づく継続的な貸付が1個の基本契約に基づく一連一体の取引であるとして過払金の充当計算がされた事例 3女性国際戦犯法廷テレビ報道訴訟控訴審判決(東京高裁平19.1.29判決) テレビ番組の報道内容が取材対象者に対してその期待と信頼に反し,説明義務を怠ったものであるとして放送事業者及び番組制作会社の不法行為責任が認められた事例 4(仙台地裁平19.10.31判決) 飲酒運転による交通事故について,同乗者に民法719条2項に基づく損害賠償責任が認められた事例 5(福岡地裁平19.2.1判決) ギラン・バレー症候群で入院中の患者を千葉の病院から福岡の病院へ航空機を利用して転送したことについて,患者を転送したことと転送時の呼吸管理に過失があったとして,病院側の損害賠償責任が認められた事例 [商 法] 6(青森地裁八戸支部平18.6.26判決) 1 傷害保険契約約款に基づく死亡保険金の支払請求における「偶然な」事故の立証責任が保険金請求者側にあることを前提としつつも,その立証の困難性に鑑み,保険金請求者において保険事故を推認させる程度の一応の外形的事実を立証すれば,保険者において自殺を真に疑わせる事情を立証しない限り,事故の偶然性を認定することができるとの見解の下に,事故の客観的状況に照らして,本件事故は外形的に偶然に起こりうる事故であるから不慮の事故であることが事実上推定され,その他の事情を総合検討しても,本件事故が自殺等の故意による自傷行為であることを真に疑わせる事情の立証がないとして,保険金請求を認容した事例 2 重複保険の告知義務違反を理由とする契約解除は,約款に定められた者において重複保険の不告知が契約解除事由となることを認識した上で,又は重過失によりこの点を認識せずに,重複保険の存在を事前に告知しなかった場合に限り,解除することができ,さらに,事案の全体を眺めて,不告知を理由とする保険契約の解除が保険会社による解除権の濫用とならない場合に限り,その効力が認められるとの見解の下に,保険契約者兼被保険者が,重複保険の不告知が契約解除事由となることを認識し,あるいは重過失によりこれを認識せずに重複保険の存在を告知しなかったとは認められず,かつ,不告知を理由とする契約解除が解除権濫用にならないと認めるに足りる証拠もないとして,保険会社による保険契約の解除を認めなかった事例 [知的財産] 7(大阪高裁平19.10.2判決) 著作権保護期間が満了した絵本の絵柄の一部を利用したタオル製品の販売を企画した製造業者が,絵本の著作権管理会社がライセンシーに著作権が未だ存続しているかのように誤認させる表示を使用させているとして,不競法2条1項13号の品質誤認表示に該当するとしてその使用の差止め等を求めた請求が棄却された事例 ◆刑事裁判例 [刑 法] 1偽有栖川詐欺事件(東京地裁平18.9.11判決) 旧皇族の関係者であるように装って結婚披露宴を開催し,多数の出席者から祝い金名下に金員等を詐取したという詐欺の事案について,一部の出席者の関係で詐欺罪の成立が否定された事例 [刑事訴訟法] 2(東京高裁平19.9.5決定) 第一審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の判決を言い渡した場合における第一審裁判所による再勾留の可否及びその要件

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