◆東京地裁及び大阪地裁における平成19年改正 DV防止法に基づく保護命令手続の運用/石橋俊一・川畑正文 ■特集・M&Aをめぐる紛争と法規制の現状及び課題 [裁判例編] 1 ブルドックソース事件/奈良輝久 2 ニレコ事件/琴浦 諒 3 ニッポン放送事件/奈良輝久・石井 亮 4 夢真ホールディングス対日本技術開発事件/琴浦 諒 5 アルコ事件/若松 亮 6 住友信託 vs. UFJ事件/清水建成 [紛争事例編] 7 村上ファンドによる阪神電鉄買収事件/石井 亮 8 王子製紙対北越製紙/日下部真治 [理論編] 9 有事における買収防衛策の概要と問題点/清水建成 10 公開買付(TOB)規制の改正と今後の課題(案)/奈良輝久 11 MBO(マネージメント・バイアウト)における利益相反性の回避又は軽減措置/十市 崇 ■関西家事事件研究会報告28 認知制度は誰のためにあるのか 婚外父子関係発生法理の再検討/二宮周平 ■実践 刑事弁護:裁判員にわかりやすい弁護のために5 証人尋問/_野 隆 ■世界の司法117——その実像を見つめて 米国連邦巡回区控訴裁判所 その現状と今後/森川さつき ■世界の司法118——その実像を見つめて 州地方裁判所におけるスケジュール命令の一例/片瀬 亮 判例紹介(全16件) ◆特 報 [特別刑法] 1旧日本道路公団理事の談合等事件東京高裁判決(東京高裁平19.12.7判決) 1 旧日本道路公団の理事が,同公団の発注する鋼橋上部工工事に係る入札談合について,独占禁止法の定める不当な取引制限の罪の身分なき共謀共同正犯の責任を負うとされた事例 2 旧日本道路公団の理事が,当初は一括発注が予定されていた鋼橋上部工工事について,担当者らに同工事を2分割して発注するように指示し,その一部につき工事請負契約を締結させたことが背任罪に当たるとされた事例 3 旧日本道路公団発注の鋼橋上部工工事について,分割後の第2工事が未だ発注されていなくても,第1工事の請負契約が締結された時点における両工事の予定価格の増大分が,一括発注に代えて分割発注をしたことによる背任罪の損害額に当たるとされた事例 ◆速 報 [行政争訟法] 1(岡山地裁平19.10.15決定) 地方公共団体の設置する公の施設について,指定管理者に対し,行政事件訴訟法37条の5に基づき,施設の使用の許可を仮に義務付けた事例 ◆最高裁判例 [行政法一般] 1(最高裁第二小法廷平19.12.7判決) 1 海岸法37条の4の規定に基づく占用の許可の申請があった場合において,当該占用が一般公共海岸区域の用途又は目的を妨げないときに,占用の許可をしないことの可否 2 採石業等を目的とする会社が,岩石の採取計画の認可を受けた採石場に近接する一般公共海岸区域に岩石搬出用の桟橋を設けるため,海岸法37条の4の規定に基づいて上記一般公共海岸区域の占用の許可の申請をした場合において,上記占用の許可をしない旨の処分が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるとされた事例 [行政争訟法] 2既存医師原告適格事件(最高裁第二小法廷平19.10.19判決) 医療法(平成18年法律第84号による改正前のもの)7条に基づく病院の開設許可の取消訴訟と同病院の開設地の付近において医療施設を開設し医療行為をする医療法人等の原告適格 [刑 法] 3(最高裁第三小法廷平19.11.13決定) 刑法105条の2にいう「威迫」の方法 [刑事訴訟法] 4(最高裁第三小法廷平19.12.13決定) 第1審裁判所で犯罪の証明がないとして無罪判決を受けた被告人を控訴裁判所が勾留する場合と刑訴法60条1項にいう「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の有無の判断 ◆行政裁判例 [行政法一般] 1(名古屋地裁平18.3.23判決) 1 入管法61条の2第2項の60日ルールは不合理ではなく原告には期間経過についてのやむを得ない事情も認められないとして難民不認定処分の無効確認請求を棄却した事例 2 法務大臣による入管法49条1項の異議申出には理由がない旨の裁決には,難民該当性の判断について裁量権の著しい逸脱又は濫用があり,明白かつ重大な違法性があるとして無効とされた事例 [国家補償法] 2(東京地裁平18.10.25判決) 相続税の物納申請に対する許可が遅延したことにつき,その審査を担当した税務署職員に職務上の法的義務違反が認められた事例 ◆労働裁判例 [個別的労働関係] 1(広島高裁平19.9.4判決) 1 時間外手当請求権が労基法115条によって時効消滅した後においても,使用者側の不法行為を理由として未払時間外勤務手当相当損害金の請求が認められた事例 2 使用者が口頭弁論終結時点までに未払時間外勤務手当全額を支払った場合には,裁判所は,労基法114条の付加金の支払を命ずることができない ◆民・商事裁判例 [民 法] 1(東京地裁平18.10.3判決) 宗教法人の信者らによる献金・商品購入の勧誘行為について,当該宗教法人に使用者責任があるとされた事例 2(東京地裁平18.9.20判決) 子宮筋腫核出術を行った際に患者の体内に誤ってガーゼが遺留されたことにより,患者に卵巣嚢腫が発生し卵管閉塞及び子宮外の癒着が生じたため,自然妊娠及び人工授精は不能となり,体外受精も適応のない状態となったにもかかわらず,医師も患者もこれに気付かないまま約3年間にわたり人工授精及び体外受精を多数回行ったとして,ガーゼ摘出の費用に加えて無益な人工授精等に要した費用及びこれに伴う精神的損害等の損害賠償請求が認容された事例 [知的財産] 3(大阪高裁平19.10.25判決) 和菓子の標章に用いられた「元祖」の表示が,品質誤認行為や虚偽事実告知による営業誹謗行為にあたるとしてその使用差止め等を求めた請求が棄却された事例 4(大阪地裁平19.3.22判決) 1 「大阪」「みたらし」が含まれる2つの商標が類似しないとされた事例 2 醤油だれを餅生地で包んだ和菓子(逆バージョンのみたらし団子)について,形態が商品等表示に当たらないとされた事例 3 「元祖」の表示が品質誤認表示行為,営業誹謗行為のいずれにも当たらないとされた事例 5氷見うどん事件控訴審判決(名古屋高裁金沢支部平19.10.24判決) 富山県氷見市において製造されていないうどんについて「氷見うどん」等の表示を付するなどして販売した業者に対し,同販売行為が不正競争防止法2条1項13号所定の原産地誤認惹起行為に当たるとして,損害賠償が命じられたが,その損害額の算定に際して,上記業者の周知性の寄与度が考慮された事例 [民事執行法] 6(福岡高裁平17.6.1判決) 間接強制決定の基礎となった和解条項の債務名義性を否定して同決定に係る執行文付与の請求を棄却した第一審判決が控訴審で取り消された事例 ◆刑事裁判例 [特別刑法] 1(東京高裁平19.12.21決定) 1 強盗致傷は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律2条2項の対象行為に当たるか 2 対象者が心神喪失の状態に当たる妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴,妄想等に基づいて行った行為が対象行為に該当するかどうかを判断する際の対象者の認識や意図の認定方法