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  • 著者松村潔
  • 出版社説話社
  • ISBN9784906828586
  • 発行2019年12月

西洋占星術哲学

本書はタイトルの「哲学」が表すように、西洋占星術についての思索をまとめた1冊です。
 西洋占星術を理解する上で数字の概念と哲学は外すことはできません。たとえば、12サイン、10天体、三区分、四元素、五分割、6つのアーキタイプ、7音階、十牛図、十進法と十二進法、9つのエニアグラムなどなど……。
 それらの要素を本書では著者の分身たる、「カウント君」と「ケスラー君」の対話問答として解き明かしていきます。この対話形式も本書最大の特徴です。これまでは、解説書スタイルでしたが、それでは著者の思考をすべて出すことはできませんでした。
 ですので、著者はプロローグでいいます。「プラトンのような対話篇を書くことでした。説明を書いていながら、そこにフィクション性も入り、好きなことを盛り込むことができます。一人称でなく対話形式にすると、自分を二人に分裂させることになり、この応報は話を加速させるのに都合がいいと思いました。(中略)すると考える作業においてはむしり理想的な状況が出来上がります。」
 つまり、本書は長年、実践と研究を重ねてきた著者の頭の中で構築されてきた西洋占星術理論の精髄ともいえます。
 「占星術の12の数字とか、3や4の数字の意味などについて書いていますが、12サインとかは、占星術で使う基礎的要素であり、これを生活の上での具体的なイメージなどに結びつけることで、12サインの本来性の意義は徐々に壊れていきます。12サインを、12の数字のシステムとして、抽象化して扱うと、もともとの姿を取り戻します。(中略)占星術は、宇宙法則を示したものであるという点で、これを具体的なことに結びつけずに考えることで、このシステムの優れた要素というものをたくさん発見することができるでしょう。」とエピローグにあるように、カウント君とケスラー君の応酬を追って読み、身につけることで占星術という優れたシステムを真に理解することができるでしょう。そのための決定版が本書だといえます。

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