「色は匂へど 散りぬるを」「夏草や つはものどもが 夢の跡」-日本語の韻文の基本が、古来培われた七五調というのはご存じのとおり。五・七・五とくれば交通標語でもピシッと決まって聞こえる。しかし、声に出して心地よく耳にしっくりくるこの七五調の基盤には、ことばの切れ目と間から生まれる4拍子のリズムがあったのだ。日本人の内在律として生き続けてきたこのリズムを見つけ出し、「心地よさ」から日本語のアイデンティティーを探る、スリリングな日本語論。