日本の怪談には、その話を伝えてきた、日本人の遠い時代からのものの考え方、生活のしくみ、伝統、慣習、宗教観…そうした人間の生きる姿勢にかかわるすべてものものが現れている。日本人がどんなことにおびえ、苦しみ、どんな生き方を退け、どんな生き方を願っていたかが、ありありと表れている。怪談は、伝説のように語り継がれてきた人々の思いを、一つの物語にしたもの。こわい――と思うだけでなく、ここに表れている日本人のものの考え方をくみとってもらいたい。