今一度、祖国の山谷を親しみをもってみてほしい。それには、山と山村、すなわち山と人の関係が古来より如何であったか、山村の生態はいかなるものであるかを知らなければならない。本書では、近世以来のわが国人の山への信仰、それによって生じた伝説、あるいは山村の風習、交通史、山の生活史などを明らかにして、山と山民を理解するたすけとしたい。本書は会の同人が調べた話を持ち寄って編したものである。(昭和三十年発行)