• Author池田弥三郎

万葉びとの一生

万葉集には、誕生を喜ぶ歌がない――。万葉びとにとって、肉体の出現という誕生より、氏神によって氏子として認知され、仲間によって、その存在が確認されることの方に意味があった。なかでも、もっとも重大な意味をもったものが、「冠」、すなわち元服の儀式であった。本書は、記紀・万葉を通して万葉びとの一生を、年中行事と冠婚葬祭を糸口に、誕生、成人、恋愛、結婚、親子の愛、旅、そして葬送とたどりながら、日本人の生き方の原像を明らかにする。折口信夫の民俗学を継承する、筆者ならではの力作。

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