ペシミズムとは「生きる知恵」である
「ペシミストたちの王」シオラン。この陰鬱な思想家の思索と執筆は、つねに厭世的なことがらに捧げられてきた。怠惰、死、自殺、憎悪、衰弱、病気、人生のむなしさ、生まれてきたことの苦悩……。ことほどさように、シオランは「暗い」。しかし、あるいはだからこそ、彼の清々しいほどに暗い言葉の数々は、生まれ生きることに苦しみを抱く私たちが人生を楽にし、生き延びるために役に立つ。本書は、気鋭のシオラン研究者が、彼の言葉と時に批判的に伴走しながらその思想をひもといた、待望のモノグラフである。いまこそ読まれるべき、魅惑的な思想家のすべて。