ところで、歴史は、しばしば好き嫌いで論じられます。
ぼくもよく聞かれます。
「先生、歴史が好きですか?」
「先生、歴史上の好きな人物は?」
などと言われます。
「うちのお父さん、歴史が好きなんです。先生の本もよく読んでます」
とか言われることもあります。
好き嫌いで論じられるものは嗜好品です。酒やタバコと同じです。
はたして歴史学は、好きか嫌いかで選べるものでしょうか。
どうもちがう気がします。
歴史的にものを考えると、前より安全に世のなかが歩けます。歴史はむしろ実用品であって、靴に近いものではないか。ぼくはそんなふうに考えます。
(中略)
なにごとも歴史的な考えかたは大切になります。常日ごろから、時間と空間を飛び越えて、似たようなことはないかなと考えながら暮らすと成功パターンも知れ、危険が避けられ、成功しやすいのです。(本文より)