舞台は東欧のどこかにある小さな国。ここでは時折、スターリクという氷の妖精たちが棲む異世界への道が開かれる。
ミリエムは16歳、金貸し業を営むユダヤ人の娘。気弱な父親に代わって、ミリエムが村の家々を回って借金を取り立てると、少しずつ金が貯まるようになってきた。「魔法のように金を生み出す娘」という評判が広がる。そんなミリエムの前に、ある日、スターリクの国王が訪ねてきて「この銀を金に変えろ、そしたら王妃にしてやる」と、無理難題を押し付けてきた。
ワンダは貧しい一家の娘。母を亡くし、大酒飲みの父親と、二人の弟とともに暮らしていた。借金の返済ができなので、ミリエムの家で働きながら、少しずつ金を貯めていた。ある日、姉弟は酔っ払った父の暴力を避けようとして、謝って殺してしまう。そして、姉弟たちの逃亡生活が始まった。
リアルな世界と冬の異世界が交錯する美しいファンタジー。