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  • 著者岩井秀一郎
  • 出版社小学館
  • ISBN9784093887472
  • 発行2020年2月

渡辺錠太郎伝 / 二・二六事件で暗殺された「学者将軍」の非戦思想

渡辺和子の父はなぜ二・二六で殺されたのか
昭和11年2月26日未明――。
雪に覆われた東京・荻窪の渡辺邸で何があったのか?
「非戦平和」を訴え続けた「良識派」軍人の思想と生涯が、初めて明かされる。
ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』などの著作で知られるシスター渡辺和子の父・錠太郎は、日本が戦争へと突き進む中で起きた史上最大のクーデター未遂事件「二・二六事件」で、陸軍軍人としてただ一人“襲撃目標”にされた人物だった。
戦争だけはしてはいけない――。第一次大戦後のドイツなどを視察し、戦争の実相を知悉していた錠太郎は帰国後、戦争を避けることがいかに重要かを説いて回った。
「私は戦い破れたドイツ、オーストリーばかりでなく、勝った国のイギリス、フランス、ベルギー、オランダなどもつぶさに見て来たが、どこもかしこもみじめな有様であった。日本も世界の列強にならねばならぬが、しかし、どうでも戦争だけはしない覚悟が必要である。」(評伝『郷土の偉人 渡邉錠太郎』より)
無類の読書家でもあった錠太郎は、俸給の多くを「丸善」での軍事書などの支払いにあてていたという。
「非戦平和」を唱え続け、志半ばで凶弾に斃れた悲劇の軍事エリートは、なぜ同じ陸軍の兵士たちの手で殺されなくてはならなかったのか。残された娘は、父の死に何を学び、どう行動したのか――。
第26回山本七平賞奨励賞を受賞した気鋭の歴史研究者による傑作評伝。
【編集担当からのおすすめ情報】
本書は、デビュー作『多田駿伝 「日中和平」を模索し続けた陸軍大将の無念』(小学館)で、第26回山本七平賞奨励賞を受賞した歴史研究者・岩井秀一郎氏による新たな書き下ろし長編評伝です。
本書で紹介する渡辺大将もまた、多田大将と同様に、戦後日本人の多くが“忘れてしまった”軍人の一人と言えます。愛知・小牧の貧農の出身ながら、ほぼ独学で陸軍士官学校へと入り、恩賜の軍刀を受けたほどの秀才であり、俸給の大半を「丸善」での洋書の購入にあてていたという無類の読書家でもありました。
娘の渡辺和子さんの著作を通じて、その存在を知ったという読者も多いと思いますが、渡辺錠太郎という軍人が戦前の陸軍でどのような役割を果たし、なぜ歴史から消えていったのかを理解している方は少ないかと思われます。そんな軍人の素顔を、未公開を含む厖大な資料を駆使して説き明かしていきます。
ぜひ、ご一読いただければ幸いです。

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