自国の独立など文明論全般のなかでは瑣々たる一か条にすぎない。だが今はその一か条にこそ賭けなければならないのだ-福沢の議論は、西洋文明の歴史と対比しつつ日本文明の伝統を描き出した上で、主権的国民国家の形成という日本国民が直面する課題へと一気につきすすむ。足かけ4年にわたった読書会での全講義完結。