• 著者自遊空間ゼロ 桐生敏明

僕のナゼ、私のナゼ

私たちはなぜ生まれてきたの? 「私たちって、人間の誰かさんの夢なんだろうか!?」 カエデが逃げ込んだイルカさんの世界は、自由でノビノビとして、 いつまでもこうしていたい ——— そんな世界でした。 そんなイルカさんとの暮らしの中で、カエデは自分の中にある「ナゼ」と出会い、「ナゼ」を探すことで、自分自身と向き合おうとします。 「自分はナゼ逃げ出してきたんだろうか?」 イルカさんの仲間になったカエデが思いついたゲームとは…………。 子供時代に、自分の中の「ナゼ」と向かい合うことは、 「自分がナゼ生まれてきたのか」、 「自分とはいったい何なのか?」 を考えていく大きなチャンスと出会うことだと思います。 大人になるにつれて、そんな「ナゼ」を忘れていくのではなく、 自分の人生を歩んでいく上での大切な宝物として、 また自分のパートナーとして、 自分の中の「ナゼ」とつきあってほしい。 そんな思いからこの本は生まれました。 編集工房DEPでは、「ぼくのなぜ、わたしのなぜ」(わたしたちはなぜ生まれてきたの?)という本を企画し、小学校高学年〜高校生程度の子供たちに、この本の製作に協力してくださるよう呼びかけました。 協力してくださる子供たちには、三通の簡易郵便封筒を送りました。封筒と便せんが一緒になった優れもので、この封筒の裏に直接手紙を書き、ポストに投函するだけで、こちらへ届くという便利なモノです。 この封筒に、次のようなことを書いてほしいと、子供たちにお願いしました。 (1) まず最初の封筒には、自分が感じている「なぜ」を、どんどん書き出して送ってください。箇条書き、殴り書き、どんな形でもかまいません。 (2) 次の封筒には、たくさんの「なぜ」の中から、自分にとって最も重要な「なぜ」を一つ選び出し、書いてください。今の自分にとって、それが自分の人生の大切なキーワードと思えるモノ。これを一つ選び出して送ってください。 (3) つぎの封筒には、なぜ、それを選んだのか、自分に問いかけて、自分の今の生活や背景も含めて書いてみてください。 自分が、自分自身のインタビューアーになって、自分に取材し、自分に問いかけた結果を書いて送ってください。 いただいた手紙を元に、「人間の子供たち」を「イルカの子供たち」に変え、ストーリー性のある、かわいい子供向き絵本に仕上げました。 大人たちにとっては、成長するにつれ忘れていく、自分の中の大切な「なぜ」を思い出すきっかけになれば、また子供たちにとっては、自分の中に芽生えた大切な「なぜ」を、本当の自分を知る大事なヒントとして、忘れず持ち続けてほしい、そんな一冊になればと思っています。

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