• Author堀田善衛

路上の人

「路上の人」ヨナは、13世紀ヨーロッパに、ようやく町や都市が成立しはじめた頃、森の中から出てきて街道にあふれた、浮浪者の一人。ヨーロッパ全土、どこにでもいて、どこへでも行った。まだ国境もなく、国家は成立していまかったが、宗教はあった。ここに登場する聖職者、密使、騎士、尼僧、乞食、異端の人々などの劇は、すべて路上の人、ヨナが上目づかいに見たものである。中世の光と影を描ききる作品。現代にも、矛盾と理不尽を抱えた多くの路上の人々がいる筈である。

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