道元には、2歳年長の弟子がいた。二祖・懐奘である。懐奘は20年にわたり師・道元に近侍し続け、その間、道元が折にふれ弟子たちに説き聞かせた言葉を克明に筆録していた。それが『正法眼蔵随聞記』である。仏道修行者のあるべき姿を示した道元の言葉は、実生活に即して平易かつ懇切丁寧であり、道元の人と思想を知るための恰好の書ともなっている。