• 著者石丸修平
  • 出版社日本経済新聞出版社
  • ISBN9784532323257
  • 発行2020年2月

超成長都市「福岡」の秘密 / 世界が注目するイノベーションの仕組み

◆福岡の勢いがすごい。人口増加率は東京を抜いて1位、地価上昇率は東京都や大阪府の約2倍。政令指定都市で唯一、5年連続で税収が過去最高で、スタートアップ開業率は4年連続7%台(政令指定都市唯一)。国際会議などの開催件数、8年連続政令指定都市中1位、洋風まんじゅう「博多通りもん」の2018年の売上高は75億円とギネス世界記録に認定された。
◆福岡は、2012年に「スタートアップ都市ふくおか宣言」を行い、スタートアップ政策を進める方向性を打ち出した。2016年からは、福岡市とFDCが連携し、福岡都市圏で新規事業を次々と生み出し、世界の都市間競争の強みとすることを目的に、「実証実験フルサポート事業」を展開している。ドローンベンチャーのトルビズオン(福岡市)や福岡市が九州大学箱崎キャンパス跡地でドローンを使った配送実験を実施したり、ANAホールディングスなどが博多湾で飛行実験を実施したりしている。日本の都市部でこのような新しい技術の実証実験ができる場所はなかなかないのが現状で、福岡ではこうした点で、国内外から有望ベンチャーが集まっている。
◆世界からも高く評価を受けるベンチャーの例として、健康機器関連のベンチャー「サイマックス」がある。サイマックス社が提供するのは、病気の予兆を全自動でチェックしてくれるトイレでの健康モニタリングサービスだ。トイレの便器に尿の成分を測定するセンサーを取り付け、利用者に疾病リスクなどの情報を通知する。最適な実証実験のパートナー選支援をFDCが行い、サイマックス社に会員企業のハウスメーカーを紹介し、そのハウスメーカーが管理する一般住宅100世帯での実証実験に繋げた。
◆著者は、FDCの事務局長だ。FDCとは、福岡の新しい将来像を描き、地域の国際競争力を強化するために成長戦略の策定から推進までを一貫して行う、産学官民一体のシンク&ドゥタンクだ。福岡の国際的な競争力を高め、東アジアのビジネスハブになるという目標を掲げ、福岡都市圏を核として、九州、さらには隣接するアジア地域との連携を図り、事業性のあるプロジェクトを推進している。

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