心眼 柳家権太楼
私たちは、何をみているのか?
初代・三遊亭圓朝が生み出した、古典落語の名作『心眼』。あんま師・梅喜の薬師様への願掛けの思いが叶って、目が見えるようになると……。
古典落語の名人・柳家権太楼の口演を写真家・大森克己が、その一部始終を撮影。
見えること/見えないことをめぐる、「落語」と「写真」のスリリングな格闘――。
【引用】
誰も観客のいない白いホリゾントに座布団を置き、ライティングをして権太楼師匠にそこ
に座っていただいて『心眼』を初めから終わりまで、ボクがその一部始終を写真撮影する
というためだけに落語をやっていただけますか? とお願いしたのが2017年の夏の終わり。
板橋の蕎麦屋で撮影の趣旨を説明したところ、間髪入れず快諾していただけたのだが、楽
しそうな顔をして師匠は仰った。「やるよ。オレは落語をやるだけだから。大森さんはそれを
どうにでも撮って下さい。どうなるかわからないけど、出来上がるものは……きっと
そりゃ、落語じゃねえな」。
その言葉を聴いてボクはうれしくなった。
――「あとがき」より
◆英文併記
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