畿内地方の弥生時代観は、新発見の増大や考古学の学際的研究によって、近年大きな変化を迎えています。年輪年代測定法により弥生時代後半期が従来より百年近く遡る公算が高くなったことと、大阪府南部の池上曽根遺跡において「神殿」とも呼ぶべき大型掘立柱建物跡が発見されたことが、大きな契機となっています。その結果、畿内の弥生文化は、予想以上に早くから発達していたことが明らかになりました。本書は、こうした成果を受けて、畿内の弥生社会から「邪馬台国」やヤマト政権が誕生する様子を考えようとする試みです。また、近畿各府県を中心に、近年新聞紙上を賑わした、重要な考古資料の図や写真を掲載するよう心がけました。