大学進学の意欲も将来への希望も失い鬱屈した毎日を送る三崎渉と、家庭と天稟に恵まれて輝くような青春を謳歌する前橋香保里との偶然の出遇いが、不幸で苛酷な物語の発端だった。誘拐、麻酔薬を使用した暴行、被拐取者・誘拐犯の殺害―と、捜査を嘲るように、そして当事者たちを翻弄するかのように、事件は禍いを増幅しながら膨んで行く。