第二次大戦下、ビルマの山村地帯で兵站勤務にあたる西隈。軍はペスト感染予防のためネズミ駆除を進めようとするが、部落の長老は頑なに拒む。衛生兵が投げかけた言葉とは(「仏道に反して」)。前任部隊の少尉が最期に残した言葉、それはビルマに見いだした夢であった(表題作)。『いくさの底』の著者による、戦場小説の深度をさらに増した連作短編集。