いつだっただろうか。ふと義母が言った「言葉」に私は救われた――マレタイムでいこう。その言葉は大好きなホットコーヒーを飲んだ時のように心の奥に沁み込んでいき、どうしようもない現実に、ただ悔しく、悲しむことしかできなかった私を救ってくれた。そうだよ。希のペースで、希の時間でゆっくりやっていけばいい。大丈夫、私は生きている。文芸社第2回人生十人十色大賞・最優秀賞受賞作品。