「裏に一本の柘榴の木があって、不安な紅い花を点した」(小川未明「薔薇と巫女」)。何を視、どう伝えるのか-日露戦後の新機運のなか、豊饒な相克が結ぶ物語。明治三八‐四四年に発表された、漱石・荷風・谷崎らの一六篇を収録。