香木屋芳楽堂の一人娘おりんは、旗本出身の香師である父仙三郎の情愛を一身に受け美しく育つ。線香ほの香が大当たりし、江戸香の名店と謳われていた芳楽堂だったが、大晦日の夜に賊に入られ、代々伝わる秘蔵の伽羅「白浪菩薩」ばかりか仙三郎の命まで奪われてしまう。手の平を返すように冷たくなる世間に打ちひしがれるおりん。だが、持ち前の負けん気と卓抜した嗅覚を頼みに店の再興、そして父の仇討ちに立ち上がる。期待の新シリーズ、始動!