軍艦奉行・木村摂津守の従者として咸臨丸に搭乗、太平洋を渡った長尾幸作の航海日誌『鴻目魁耳』―。本書は、著者の曾祖父が遺したこの一次史料を手がかりに、福沢諭吉ら同乗者たちとの友情、勝海舟の辛苦など、渡航のドラマを克明にたどる。第六回和辻哲郎文化賞受賞の画期的労作。