『原発事故から10年。今なお「原子力緊急事態宣言」発令中の日本に暮らす人々へ贈る、一家に一冊の必需品』
自費出版でありながら1万8,000冊の発行部数となった、「図説・放射能測定マップ+読み解き集」の発行から1年4ヶ月。これまでの活動により得た知見をもとに、行政・ほか専門機関が調査して得たデータを多数解析に用い、原発事故のその後について追加記事を収録しました。
事故から10年目に入る今、原発事故の記憶は徐々に薄れつつあり、声高に叫ばれる『復興』の陰に、被害はなかったことにさせられつつあります。今なお避難されている人々がますます声をあげにくくなる一方、事故当時のことがあまり記憶にない世代が大人になりつつあります。
事故後に避難区域に指定された地域は、オリンピックを目の前にしてこの3月11日直前に次々と広域に避難が解除されました。チェルノブイリ事故後は、年間5ミリシーベルトを超える実効線量で強制移住ゾーンと定義されているのに、日本は20ミリシーベルトを下回ると確認された地域は事故からたった9年で避難指示解除されたのです。これらの地域やその近隣では、高汚染な森林などからの土のまき上がり・再浮遊、水害時の流出、市街地のあちこちに放置されているマイクロホットスポットの問題など、無視された課題が山積しています。また、小児甲状腺がんが多発している問題、汚染土壌の再利用問題、汚染水の海洋放出問題、未だ道のりのみえない被災者への補償問題、廃炉など、長期に渡る影響を真剣に考えなければならない大きな問題が目の前に横たわっています。
今改めて放射能について知り、現状を理解し、よりよい未来を次世代に残すためにも多くの方に読んでいただきたい1冊です。現存する原発54基をどうするのか、可能な限り被ばくを回避し安心して暮らすため、家族や友人、学校の同級生と一緒に、この本を手に取って話し考えるきっかけになることを希望しています。
今回の増補に際し、次の項目の書き換えや追加記事を収録しました。
・2020年の東日本全体の土壌放射能推定値地図
・事故前2010年の日本全国の土壌放射能の値
・小児甲状腺がんの発症状況(2020年3月現在)
・2019年の台風19号における水害土壌調査
・高汚染エリアにおける土壌汚染と大気浮遊じんの関係
・激甚汚染エリアからの放射能流出の見通し
・食品・土壌・空間線量の基準について
『図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集』とは
2011年の東日本大震災により発生した、東京電力福島第一原発事故による広範囲にわたる土壌汚染の様相を、『国がやらないなら自分たちでやるしかない』と、手弁当で3年間かけて、市民のべ4,000人とともに調査した「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」の結果を解析し、第1章:土壌、第2章:食品、第3章:放射能の基礎知識、からなる、市民の市民による市民のための放射能解説本。