「サステナベーション」とは、「サステナビリティ」と「イノベーション」を組み合わせた筆者による造語でです。現在、SDGsをはじめとして、サステナブルな社会と環境、経済をつくり出そうという動きは、世界中に広まっています。
本書は、世界が今後そうした目標に向かっていくために、特にITの分野でさらなるイノベーションを起こしていくことが不可欠になる、という視点から執筆されたものです。サステナビリティを実現するためのイノベーションを「サステナベーション」と定義し、著者の独自取材に基づく世界の最新事例を紹介しながら、今後企業が必要とされる存在であり続けるために、いかにしてビジネスを進めていくべきかを問いかける内容です。
著者はNTT(後のNTTデータ)に入社して、金融システム部門に長く携わった後に、欧米分野とグローバルマーケティング分野の担当副社長となりました。その経験から、「世界では、SDGsをはじめとしてサステナビリティを目指すこと当たり前に考えられ、特に若い世代がサステナビリティの実現と定着に対して非常に意欲的であり、サステナブルな社会を達成するイノベーションを創造する中心の世代となりつつある」と語ります。さらに、「日本には積み重ねたイノベーションによる技術蓄積と、長い歴史にサステナビリティを大切にする伝統と素地があるのに、その発信についてはまだまだやるべきことが多い」とも指摘しています。
日本で「イノベーションが生まれなくなった」と指摘されるようになって久しいなか、本業のビジネスやイノベーションを通じてサステナブルな社会づくりにどう貢献していくべきかを提示します。
著者は「日本企業こそサステナベーションを取り入れた事業展開が可能であり、世界的に活躍できる余地が多分にある」とも主張します。企業経営者や経営企画担当者をはじめとして、幅広いビジネスパーソンに、これから展開すべきビジネスを考えるうえで示唆に富む一冊です。