本書はタイトルの『西洋占星術哲学』のタロットについての姉妹編です。
著者はタロットカード(この場合、大アルカナ「愚者」から「21世界」までの22枚を指します。小アルカナは本書では取り扱いません)を7で分割して考えることを推奨し、実践してきました。例外といえる「愚者」の除くと21枚のセットであり、それを7枚掛ける3段のレイアウトとして俯瞰的にとらえるのです。
では、なぜ、7なのか。
著者はプロローグでこのようにいいます。
「22枚のうち、「愚者」を外して、21枚にすると、21は3掛ける7、7はそもそも3足す4ということで、3の数字の法則と4の数字の法則で組み立てられているという考え方ができます。すると、これは占星術でよく使われる三区分、四元素、3掛ける4で作られる12サインなどにも親近性が出てきます。
7の数字で分割したタロットカードは、1枚ずつに、別の数字で分割した読み方とは異なる特有の意味が成り立ちますが、7の数字は七音階とか、虹の七色とか、チャクラの七つとか、七つのスペクトルから意味を連想することも可能でしょう。七音階だと思うと、このタロットカードは音楽のようなものだとイメージすることもできます」
著者はこのタロットカードの思索を50年弱続けてきました。そして、いま、あらためてこのように思うのです。
「ずっとこの7枚で分けていく考え方に「単純すぎるのではないか」という違和感を抱いていたので、だからこの仕組みで書いていくことにしたのです。」
ここで「違和感」というキーワードが出てきます。
続けて、「違和感というのは、差異性を感じているわけで、この差異性とは意欲やエネルギーを生み出します。あるものとあるものに差があると、それに触れることで、差成分はメッセージになります。ある人とある人が話をすることができるのは、この二人にちょっとした違いがあるからで、全く同じだと会話は成り立ちません。これは長年一緒にいる夫婦とか、兄弟とかがもう話などしない、ということでもわかるでしょう。」
著者が感じる「違和感」を本書では前著(『西洋占星術哲学』)と同じく、カウント君とケスラー君が対話のキャッチボールで解き明かしていきます。
タロットの占術やテクニック、図像解読などではなく、ただひたすらにカード1枚1枚の世界に潜り込み、真髄を求める二人の対話は、表層的ではないタロット理解の鍵となるはずです。
二人の対話に着地点があるのかどうか、著者はエピローグでこう断言します。
「タロットカードに関しては既に50年弱扱っています。でも、まだ飽きてなさそうな感じで、いろいろ掘り起こしてみたい意欲はまだ消えていないようです。」
タロット精髄へのヒントが本書に秘められています。