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  • 著者宮崎哲弥
  • 出版社NHK出版
  • ISBN9784140886298
  • 発行2020年7月

いまこそ「小松左京」を読み直す

戦後日本を代表するSF作家として知られる小松左京。その作品は、大規模自然災害、ウイルス・パンデミック、科学技術の進歩と限界等、現在の私たちが直面し、未だ解決できない問題を先取りするかのようなリアリティを持っていることから、いまふたたび注目を集めている。彼は危機の予言者なのか? それとも――。
作家としての出発点『地には平和を』、日本SFのオールタイムベスト『果しなき流れの果に』、460万部超の大ベストセラー『日本沈没』、カルト的な人気を誇る『ゴルディアスの結び目』、未完の遺作『虚無回廊』等、小松の仕事を画期する代表作群を読み解き、時代を超える洞察の淵源をさぐる。小松左京を「SF作家」にとどまらない、戦後最大の知識人として捉えなおす試み!
(目次)
はじめに 戦後日本SFとは何だったのか――小松左京を通じて
第1章 現実に「木戸銭」を払って――「銃後」から「廃墟」へ
『地には平和を』『戦争はなかった』『ヤクトピア』
SF作家、小松左京が生まれるまで/ダンテ『神曲』との出会い/例外的な私小説/聖戦貫徹のパラレルワールド/〝この現実?への抗い/「現実」の底を掘り抜く/廃墟から自由への道/ほか
第2章 宇宙を超えるための「闘争」
『果しなき流れの果に』『神への長い道』『彼方へ』
残された難問(アポリア)を問い直す/闘いの構図/『幼年期の終わり(チャイルドフッズ・エンド)』を超えて/〝闘争?から〝超越?へ/エイリアンによる福音と、哲学の袋小路/認識によるブレイクスルー/進化の加速主義/脱構築し続ける神話体系/ほか
第3章 滅びとエクソダス
『日本沈没』
空前の大ベストセラー/戦後政治と「新しい日本人」/『果しなき流れの果に』の余映/大阪万博と未来学/希望の未来、絶望の未来/近代国家とポストモダンの〝くに?/業(カルマ)としてのアイデンティティ/生き残る者たちの「寓話」/ほか
第4章 トラウマとブラックホール
『ゴルディアスの結び目』
〝知の旅?が遭遇するもの/「出発」――知覚の扉を開けて/宇宙に〝開かれた?岬/「渦」――その球体は何なのか?/深層意識への潜行(ダイヴ)/エクソシストと量子重力理論/宇宙の本質をめぐる超神学論争/歴史的怨念が凝集し、時間と空間が入れ替わる/ほか
第5章 虚イマジナリーと実リアルの通路
『虚無回廊』『結晶星団』『雨と、風と、夕映えの彼方へ』
小松SFの「未完の集大成」/二度の中断と〝途絶?/「実存」は実在するのか?/天才ジェランの「一般自然言語」/〝SS?と宇宙構造のごみ捨て場』/書かれなかった結末/物語の円環は閉じられた。しかし……/目的論への傾向/「人間原理」と「現代の神話」/ほか
世界と出会い直すために――あとがきにかえて

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