江戸時代、駿府の城下町を縦横に流れていた駿府用水。その歴史に興味を寄せていた筆者は20年ほど前、東京・神田の古書店で「文化十年水道方手控」と題された文書に出合う。当時の水道方同心が残した記録で、そこには水を大切に活かし守ってきた人々の営みが克明に記されていた。長い間の研究成果を基礎にしながら、新史料を丁寧に読み解き、「水の都」の物語を浮き彫りにした。