ひとりの少女があなたに教えてくれること
ある日、街はずれの円形劇場跡に住み着いた少女モモ。彼女には、人びとの話に耳を傾けるだけで、彼らに自信を取り戻させる不思議な力があった。そこに現れたのが「灰色の男たち」。彼らは街のみなに時間の節約をもちかけ、浮いた時間を奪いとる「時間どろぼう」だった!
1973年の出版以来、世界中で翻訳された『モモ』は児童文学の傑作と名高い。しかしこの作品がもつ真価は、せわしない日常を生きる大人にこそ向けられている。時間の価値とは? 豊かな生とは? そして死とは? さまざまなメッセージに満ちた物語の神髄を、臨床心理学の立場から鮮やかに読みとく。