犬とのさり気ない日常を超えた無音の和音が聞こえてくる。――谷川俊太郎「生きてるときに生きてて、何か感じたり、ほかの生きものに感じられたりして、どれがどう入れかわっても、おなじだ、って」。変わりゆくもの、簡単には変わらないもの。ぼくと妹の紗枝、そして犬の「マル」たちをめぐる、家族と記憶の物語。