一首一首から、そして一冊からは、確かにある作者像が顕れる。 しかしその作者(「主体」と言い換えてもいいかもしれない)は、どことなく摑みようがない印象を受ける。読み込めば読み込むほどに、主体はするりと読者の手をすり抜けていってしまう。そして、そこが限りなく面白い。 ライトヴァース、ニューウェーヴをくぐった先の、ひとつの「私」の有り様が、何食わぬ顔で一冊に収まっている。・・・「帯」より