2018年11月3日〓5日の3日間、北京の中国人民大学(崇徳楼)で開催された説話文学会五十五周年記念・北京特別大会の報告集。
近年著しく進展している東アジア仏教を主とする宗教研究を視野に入れつつ、第一部には、中国仏教に焦点を当てた講演とシンポジウムに加え、『釈氏源流』を事例とするラウンドテーブル、さらなる問題展開として〈環境文学〉を軸に東アジアの宗教言説と説話をめぐるラウンドテーブルを行った学会の様子を完全収録。
第2部は「これからの説話文学研究のために」として、今後の研究への提言として、内外の研究者10名による文章を収録した。
付録として「北京所在の遼代の寺院をめぐって」を掲載。龍泉寺(りゅうせんじ)、大覚寺(だいかくじ)、潭柘寺(たんしゃじ)、天寧寺(てんねいじ)の案内を収録。
説話文学研究は、「説話」の語彙自体が中国の唐宋代には話芸全般を指す用語であり、話芸の専門家は「説話人」と呼ばれていたように、東アジアに共有されていた概念であり、中国、朝鮮半島、琉球、ベトナムにおよぶ広範の文化圏から考究されるべき課題である。本書はそんな説話文学研究の最前線を伝える一冊である。
執筆は、小峯和明、金 文京、石井公成、李 銘敬、馬 駿、小川豊生、小島裕子、野村卓美、渡辺麻里子、陸 晩霞、吉原浩人、周 以量、何 衛紅、劉 暁峰、染谷智幸、樋口大祐、米田真理子、金 英順、グエン・ティ・オワイン、近本謙介、井上 亘、水口幹記、山本聡美、丁 莉、福田安典、マティアス・ハイエク、趙 恩〓、ファム・レ・フィ、楊 暁捷、千本英史、栗野友絵。