NASAの父と娘による宇宙探査のストーリー
NASAの技術者である父と、その娘みーちゃんとの対話を通して、宇宙探査の歴史が語られます。
わかりやすく、親しみやすいストーリー展開と、世界観を表現するイラストたち。
その途中には、ここでしか読めない宇宙をテーマにした美しくディープなコラムも差し込まれ、図鑑としても読めます。
火星探査の最前線で活躍する著者が生み出した、全くあたらしい宇宙の定番書。
10年後もそばに置いておきたい、珠玉の児童書が誕生しました。
◎
(著者からのメッセージ)
なぜこの本を書いたのか
なぜ子どものための本を作りたいと思ったか。最初の動機は非常に個人的なものでした。
娘のミーちゃんのための本を書きたかったからです。
今回の本は2年前に出版した「宇宙に命はあるのか」の第1章を子ども向けに再構成し加筆したものです。
全部で5章あるので、ぜんぶで5巻になります。
1年に1巻ずつ出していけば、ちょうどミーちゃんが小学3年生になる頃に完結します。
娘の夢を縛る意図は毛頭ありませんが、僕の宇宙への思いや考えを、後に残る形で伝えられればと思いました。
ですが、企画がスタートする頃になると、もっと大きな目的が加わりました。
作中に出てくる架空の12歳の「ミーちゃん」は宇宙と恐竜が大好きな女の子ですが、クラスメイトから「変な子」と言われ、興味を共有できる友達がおらず、孤独を感じています。
僕自身が昔、そういう子でした。
ですが、僕にとって幸運だったのは、宇宙の話をできる父がいたことでした。
技術者にして天文マニアの父は僕に様々なことを教えてくれただけでなく、僕の知識自慢をいつも聞いてくれ、それを素直に褒めてくれました。
友達がいなくても、父と話すことで僕の承認欲求は満たされ、存在の危機から救われました。
では、もし父が側にいなかったら?
僕はもっと孤独だったでしょう。そして宇宙への熱も早々に冷めていたかもしれません。
きっとそんな子どもたちが日本に少なからずいるでしょう。
孤独な宇宙っ子たちにとって、興味を語り合える父親のような存在の本を書きたい。
それが、この本の目指すところです。
しかし、どうすれば本が父親代わりになれるのでしょう?
語るだけでなく、聞いてあげる本にすることだと思いました。
宇宙っ子たちはすでに図鑑やインターネットで膨大な知識を蓄えています。
彼ら彼女らはもっと知りたいだけではありません。知っていることを語りたいのです。
一方的に「知識を与える」本ではいけません。
子どもに「へー、そんなことも知っているんだ、物知りだね!」と褒めてあげるような本にしなければいけないと思いました。
この本を昔の僕のような子どもたちの側にいてあげられるような本にすること。
孤独な宇宙っ子たちの心に寄り添い