人の本心は誰にもわからない。だから思い遣る――隅田川近くの横町に生きる人々が、手探りで明日を掴もうとする、江戸の人間交差点!浅草花川戸界隈には、《人情小路》と呼ばれる横町があった。戯作者を目指す可一はその辻の自身番の書役として、町内の出来事を日記に残していた。そこに綴られていたのは、一膳飯屋を営む男を衝き動かした慕情や、大好きな父親の窮地を救おうとする童女の奇跡、武士の義ゆえに添い遂げられない夫婦の絆だった――健気に懸命に生きる人々を描く、感涙必至の時代小説。
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