第二次大戦後のヨーロッパを代表する哲学者の主著。下巻では、他者の「顔」をめぐる著名な議論が展開され、「同」に対する「他」の優位、存在論に対する倫理学の優位が説かれる。暴力と殺戮が蔓延し、人間が日々焼きつくされる時代を生きのびた一人のユダヤ人哲学者が、主体と他者の回復に向けた、因難な希望をたぐりよせる。