「万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる」という冒頭の言葉が示すように、ルソー(1712‐78)一流の自然礼讃、人為排斥の哲学を教育論として展開した書。ある教師がエミールという一人の平凡な人間を、誕生から結婚まで、自然という偉大な教師の指示に従って、いかに導いてゆくかを小説の形式で述べてゆく。