神にも似た創作という行為と、人間としての情愛の間で揺れ動き苦悩した文学者たちの姿をとらえた傑作シリーズ。奔放な生を貫き通して伝説の作家と言われた岡本かの子と、彼女を支えた夫・一平の並外れた愛情が衝撃を与える『堕天女』『聖家族』、宮沢賢治の恋の真相に迫る『恋文』、享年二十四歳-あまりに短か過ぎた天才・樋口一葉の生涯を綴る『門』、晩年の太宰治と周辺の女たちを描いた『傷にしてナイフ』、岡倉天心が悠久の美への想いを語る『千年の夢』など名作九話。名手・斎藤なずなが鮮やかに描き切った愛と哀しみの近代日本文学史、ここに完結。